Holy Ground -Please Kill me, and Kiss me-

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  04  

 いくら待ってもアルフォンスが戻ってこない。大佐の命令を面倒くさいながらも守って風呂に入ったエドワードだったが、部屋に戻ってからいくら待ってもアルフォンスは戻らなかった。
「ちくしょー。世話が焼けるぜ」
 アルフォンスが聞いたら、それは兄さんだろ! という反論をもらってしまいそうな独り言を漏らしながら、エドワードは部屋を出ようとすると扉のノック音が響く。
「アル? いちいちノックなんて……」
 と言いながら扉を開ければ、そこにホークアイがいる。
「これに着替えるようにと、大佐からの指示です」
 紙袋を差し出されてエドワードは受け取る。
「へぇ……なんか、用意がいいな。……でも、軍服はイヤだぜ」
 ごそごそと紙袋の中を探りながらエドワードは独り言のように言う。
「大丈夫よ。階級章の調整が間に合わなかったので、これに銀時計を携帯しろ、という大佐の指示よ」
 袋に入っていたのは黒いスーツ一式だった。
「へーい……」
と、エドワードは気のない返事をしたが、ちょっと待って、と廊下へ立ち去るホークアイを呼び止める。
「ウィンリィ、知らない? アルも戻ってこなくて」
 ホークアイは首をかしげて
「ウィンリィちゃんならさっき着替えの手伝いをしたんだけれど……。アルフォンス君は知らないわ」
「そう、おっかしーな」
 ホークアイに礼を言ってからエドワードは部屋に戻る。
 どこに行ったんだ? と首をかしげながら、渡された服の袖を通す。服のサイズはぴったりだった。エドワードは部屋に備え付けられた鏡の前に立ちながら、なんだかふっと不安がよぎる。
(……なぁんか…うまく行きすぎてねぇか?)
 なにがうまくいっているのか、それはエドワード自身もわからない。ただなんとなくそんな不安とも呼べないひっかかりを頭から振り払い、エドワードは部屋から出る。アルフォンスがいつまでたっても戻ってこないのだ。隣室の部屋をノックする。
「大佐、アルとウィンリィ、知らない……」
「あ、兄さん」
「あ?」
 アルフォンスがこちらをくるりと向く。
「…というわけだ。よろしく頼むぞ、アルフォンス」
「あ、ハイ。分かりました」
 マスタングの言葉に、アルフォンスはうなずきながら、ずかずかと入って来る兄の方を見やる。
「ここにいたのかよ。なぁにやってんだよ。ウィンリィは?」
「ロックベル嬢なら、エレーナ・ハイゼンベルクの所だが」
 アルフォンスの代わりに答えたマスタングの言葉に、エドワードの動きがぴたりと止まる。それを面白そうに見やりながら、マスタングは続ける。
「彼女と喧嘩したそうだな、鋼の」
「喧嘩じゃねぇよ。あいつが勝手に怒って出てっただけだ」
 エドワードはそう言い捨てて部屋を出て行こうとする。
「どこへ行く」
「探しに行くんだよ、あいつを」
「あ、兄さん」
出て行く兄をアルフォンスは呼び止める。
「ボク、今夜の夕食会、出ないから」
 エドワードは一瞬足を止める。
 アルフォンスは物を食べられない。それは仕方ないことだ。弟の言葉に「ああ、その方がいいかもな」とエドワードはうわの空で頷く。
 扉が音を立ててしまり、アルフォンスは小さくため息を落とした。
「大佐。あんまりからかわないで下さいね」 アルフォンスの言葉に、「何をだ?」とマスタングは聞かないが、その顔は意地悪い笑みが浮かんでいる。
「兄さん、ああ見えてもかなり気にするんですから」
「…そんなことより、さっき言ったこと、頼むぞ」
「それは構いませんけど」
 返事をしながら、なんだか兄を騙しているような気がして、アルフォンスはもう一つ、ため息をついた。



 無駄に広い屋敷だ、と歩きながらエドワードは苛々してくる。ただ、構造は非常に分かりやすい。中央にある池を箱で囲むように、建物はぐるりと四方に広がっている。エドワード達が通された建物はかなり奥まったところにあるらしく、この建物をさらにぐるりと囲むようにいくつもの建物が放射状に広がっていた。サラムに建物を案内されながら、エドワードはそこまで把握できていた。
 沈む月との位置関係から見て、南の方向に、あのそびえ立つ巨大な塔があった。
 ようやくつかまえた使用人にウィンリィの所在を聞くと、エドワードがこの屋敷の招待客だと承知しているその使用人はあっさりとエドワードに案内役を買って出た。通された部屋は三階の奥まったところにあり、使用人のノックに応じるのは男の声だった。
 部屋に入れば、そこにウィンリィがいた。
「おまえなあ……」
 言いかけて、エドワードは言葉を失くす。振り向いた彼女の姿に、思わず言葉を忘れてしまった。
「エレーナさんから借りたの」
 腰掛けていた椅子から立ち上がったウィンリィは真っ直ぐにエドワードの所へやってくる。エドワードは声を失ったままウィンリィのいでたちを見つめた。
 ひらひらしたパールホワイトのドレスに身を包んだ彼女に近づかれて、エドワードは思わず後ずさりする。
「な………」
「エド、襟が曲がってる」
「は?」
 白い手が伸びてきて、自分の首元にふわりと触れた。
(……これ、本当にウィンリィか?)
 なぜか彼女を正視できず、エドワードは思わず目をそらす。そして、ようやく部屋の奥に座る人影に目を留めた。
「……どーも」
 目だけで挨拶するエドワードに
「無愛想ね、何よ、それ」
とたしなめるようにウィンリィが言った。
 部屋の奥に、ベッドの上に座る男が一人いる。その傍には、ウィンリィと同じようにふわふわしたすみれ色のドレスに身を包んだエレーナが座っていた。
「君が、ウィンリィの……」
「……幼馴染デス。名前はエドワード」
 エドワードは敬語は忘れずとも慇懃無礼に男の言葉を継いだ。
 列車の中で血を流して倒れていた男だ。名前は確かハンスとかいった。それよりもエドワードが気に入らなかったのは、その男が既に親しげにウィンリィのことを既に親しげに「ウィンリィ」と呼んでいることだった。
「ハンス、エドワード殿はこの歳でアメストリス国の国家錬金術師を拝命しているそうだ」
 ハンスの赤い目がわずかに揺れたのをエドワードは見逃さなかった。
「……それはそれは」
「…まぁ、あなた達イシュヴァールの人間には関係ない話でしょうけれど」
 エドワードは無愛想に付け加えた。イシュヴァールはその宗教上の教えから錬金術の使用を禁じている、ということくらいは、エドワードも知っている。
「そんなことありませんよ。ここアメストリスの地に足を置く人間としては、錬金術の恩恵を無視できません」
 ハンスはそう言って、ああ、挨拶を忘れていました、と身体をしゃんと起こして名前を名乗る。
「ハンス・グリーレーです。ここオルドールの宰相の息子で、今はその代理を拝命しています。」
 涼やかに透る声は印象的だった。エドワードは、その透き通るような赤い瞳をじっと見ながら、改めて名前を名乗る。
「…それにしても、ウィンリィには本当に、何度お礼を言っても足りないくらいです」
 にこりと笑いかけられたウィンリィは「そんな」と笑みを返している。なんとなくそれがエドワードには面白くない。
「本当なら私が応対に出ないといけないところを、サラム殿にまかせっきりにしてしまった。本当に申し訳ないです」
「その怪我じゃ、仕方ありませんよ」
 エドワードは出来るだけ無愛想にそう言った。
「ええ。でも、もう大丈夫です。夕食にはご一緒させてください」
 ハンスはエドワードにもにこりと笑み、色々とお話をしたいですね、と続けた。
 エドワードはそれにはにこりともせずに、ただ、ええ、そうですね、と返し、もう失礼させて頂きます、と短く言った。
「え…ちょ…エド!?」
 エドワードの手はしっかりウィンリィの右腕を掴んでいる。
 廊下へと出たエドワードに引きずられるようにウィンリィも部屋から出る。
「ちょ…っと! 痛い…。痛いってば、エド!」
 それでもエドワードは離さずにつかつかと広い廊下を突っ切り、つき当たりの階段を降り始める。
「大佐が言ったろ! ……あの人達には……」
 しかし、エドワードの言葉をウィンリィは途中で遮る。
「信じられないわ」
 ぴたりと足を止めてエドワードはウィンリィを振り向く。ウィンリィはまっすぐにエドワードを見つめ返した。
「信じられないよ……。喋ってみたけど、とてもじゃないけど、そんなことする人には見えない」
 ウィンリィはきっぱりと言った。
「そんなの、……分からないだろ」
 不穏な気持ちがざわざわと心を逆撫でする。ウィンリィがあの二人の味方をするのがなぜか気に入らなかった。正確に言えば、あのハンスとウィンリィのやり取りが気に入らなかった。この苛立ちが何に起因するのか、エドワードは知らない。この感情に、エドワードはまだ名前をつけたことがなかったのだ。
 エドワードのざわついた感情を知らずに、ウィンリィは言葉を続けた。
「分かるもん。…ぴりぴりしすぎよ。エドも、マスタングさんも」
 エドワードは口をへの字に曲げる。心配してるのに、逆にこんなことを言われるのは心外だった。
「とにかくだ。あんまり近づくな」
「あたしはエドと違って任務なんて無いもの。あたしがどうしようと勝手じゃない」
 あーもう! とエドワードの苛々は募る。
 気になることはたくさんある。ウィンリィの言うとおり、疑心暗鬼なのかもしれない。が、なんとなく、自分の本能が敏感に何かを感じている。
 不安だった。若い女が連れ去られているという事件の嫌疑が、あのエレーナという女にかかっているというのなら、心配して何が悪い、という気分だった。それなのに、目の前の彼女はそんな心配をよそに、ハンスやエレーナとへらへら笑いながらいい気なもんだ。
「いいから! とにかく言うこと聞けって!」
 エドワードの強引な言い方は、余計にウィンリィの反発を招いた。彼女は掴まれていた腕を無理矢理ほどく。
「エドの分からず屋!」
 それはおまえだ! とエドワードが怒鳴る前にすたすたとウィンリィは元来た道を引き返す。
「あたし、夕食にはエレーナさんと一緒に行くから」
「はぁ?」
 約束したんだから、と投げ捨てるように言って立ち去るウィンリィを、呆然とエドワードは見送った。
 階段に一人取り残されたエドワードは、あ〜あ、と壁に背を預けてため息をひとつつく。なんだか、色々やりにくい、と心の中で呟いた。ふわふわした感触が身体の中でざわざわと巡っている。ウィンリィがウィンリィじゃないみたいで、なんだか弱い。
 ウィンリィが消えた廊下をちらりと見て、エドワードはもう一つ、ため息を落とした。 自分がなぜこんなにも苛立っているのか、分からなかった。


     ‡


 お時間です、と迎えにやって来たのはサラムだった。ウィンリィは結局、エレーナらと先にホールへと向かったと聞いて、エドワードはもうひとつ、深いため息をつく。
「アル、留守番してろよ」
 部屋を出る間際、扉を閉めながらそういうと、分かったよ、という返事がくる。
 こういう時が、実は一番居心地が悪い。
 ドアノブから手を離しながら、エドワードは目を伏せる。弟には身体が無いのだという現実を見せ付けられる、一場面だ。馴れたつもりでいても、時々ふっと落ちてくるのは、少しばかり苦い罪悪感だった。
「鋼の。何してる」
 ぼんやりと手袋をはめた右手を見つめたままドアの前に立ち尽くすエドワードにマスタングはいぶかしげに声をかける。
「……なんでも」
 エドワードはぽつりと呟いて、先を歩き始めたサラムやマスタング、ホークアイの後を追った。
 案内された場所には意外にも多くの人がいた。内輪だけの食事を勝手に想像していたエドワードは少しばかり面食らう。
「こいつら……誰?」
 横を歩いていたホークアイにこっそり聞くと、
「オルドールの有力者たち……とでも言いましょうか」
 と簡単な答えが返ってきた。そういえば、オルドールがなぜ他のイシュヴァール人と区別されているのか、それを聞いていなかったな、とエドワードは思い出す。大佐が言う「裏切りの街」という言葉に思い至り、慌てて辺りを見回した。そして、ホールの奥まったところでハンスとはれやかに笑い合いながら談笑しているウィンリィを見つける。マスタングも目敏くそれを見つけたらしい、後ろを歩くエドワードに軽く目をやる。
「鋼の。彼女がいるぞ。いいのか?」
「何がだよ」
 勝手にしやがれ、とでも言いたげにエドワードはそっぽを向く。
 食事の形式は立食だった。テーブルに並べられた料理のいくつかは、エドワードが見たことのないものも含まれている。磨き上げられた床は曇りひとつなく、高い天井に響いているのは優雅な音楽だ。
 何もかも、エドワードが抱いていたイメージとだいぶ違っていた。エドワードはイシュヴァール人を直接見たことは数えるほどしかなかったけれども、どのイシュヴァール人も、国軍のイシュヴァール政策に苦しんでいるというイメージがあったからだ。
 ホールに居る人間達はそのほとんどが赤い目をしていたけれども、エドワードがそれまで見たことがあるイシュヴァール人とは違い、肌の血色もよく、身なりも言葉遣いもなにもかもが普通のイシュヴァール人と違っていた。
 ぼんやりと考え込んでいると、いつの間にか人の波に呑まれていることに気づく。軍属の人間の来訪に、人々は興味津々のようだった。サラムがいちいち紹介して回るからこれがまた煩わしい。マスタングは会場の女性の群れの真ん中にいて、にこやかに一人一人の相手をして回っている。ほんの少しばかり離れたところでそれを見守っているのはホークアイだ。
 女性陣に囲まれたマスタングを遠目に睨み、任務だと言ったのは大佐のはずなのに何をやってるんだ、とエドワードは半ば呆れて、人ごみに辟易するように部屋の隅へと逃げ出す。エドワードの銀時計に気づいた何人かが何かを話しかけようとよってくるのが分かったが、エドワードはなんとなくそれがいやだった。自分は確かに国家錬金術師だったけれども、軍属としてとりたてて何かをしているわけでもなかったし、何かを彼らに約束してやれるわけでもなかった。見ていれば分かるのだ。マスタングに集まる彼らは佐官である彼に追従しようと必死だった。
 部屋の片隅で、一人壁に寄りかかるようにして立つエドワードの目に、真正面の壁を飾る何面もの絵画が映る。その中の一枚にエドワードは注目する。それはいたって目立たない、比較的小さなサイズの絵画だったが、じっと見つめたエドワードの心を波立たせた。
「……赤い、月……」
 血のように赤い涙を流す裸の女の絵がある。波打つその女の髪は亜麻色がかった金色で、彼女が立つ水面には揺れるように輝く赤い月が写っている。天に向かって延ばされた女の手の先には、銀色の梯子。
「……あの絵が気になりますか?」
 不意に声をかけられ、エドワードは振り向く。見れば、グラスを片手に持つエレーナが、その漆黒の黒髪をたゆらせながら近づいてくる。
「……ええ。少しだけ」
 エドワードは警戒しながらも、正直に答えた。オルドールの人間は面白いな、と思う。みな、同じような赤い瞳を持っているくせに、どれもその印象が違う。エレーナのそれは、切れ長で、非常に涼やかな目元が印象に残る。そのくせ、何を写しているのか分かりにくい、深い深いワインレッドの色をしていた。
「彼女は、迷える者よ」
「迷える、者?」
 エレーナは目を伏せながらゆっくりと頷く。
「オレが聞いた話じゃ、あの女が天から降りてきて世界を救うって聞いたんだけど」
「いいえ。違うわ」
 きっぱりとエレーナはエドワードの言葉を途中で遮る。
「彼女は救世主なんかじゃない。大いなる力なんて存在しないわ」
 吐き捨てるようにエレーナは呟いた。
「……天からの救世主。オルドールでは信じられてるんじゃないんですか?」
 エドワードは頭の中に疑問符が飛び交うのを感じながら、慎重に言葉を選びながら質問する。エレーナの表情は不味いものでも呑んだように少しばかり苦しげで顔色が悪かった。エドワードは金色の瞳を細める。
(たかが伝説になぜこんなにムキになる?)
「…ええ、そうね。確かに」
 確かに信じられている……と彼女は力なく呟いた。
 二人の間に沈黙が落ちた。エドワードは横のエレーナを伺いながらも、頭の中を整理しようとする。しかし、一つだけため息を落としたエレーナが、それを阻むように口を開いた。
「君は、いくつ?」
「……一五、だけど」
「へぇ、私と一つしか違わないのね」
 私は十六才よ、と彼女はぽつりと言う。
「その歳でなぜ国家錬金術師なんかに?」
 なんかに、という言い方には少しばかり棘が感じられたが、エドワードはなんでもないという風に応える。
「やらなければいけないことがあるんで」
「…軍の狗になってでも?」
 やけにつっかかるな、とエドワードはエレーナを見つめる。
「ええ。オレがやらないといけないことはそんなことくらいではとてもじゃないけど購えないくらいのものだから」
 だから、それくらい、なんとも無い。
「……なぜ、笑うんです?」
 エドワードはムッと口を結んだ。
 隣のエレーナは少しばかり口元を緩ませて笑みを浮かべていたからだ。こんな笑顔は初めて見るなぁ、とエドワードは少し驚く。
 列車の中ではずっと厳しい顔をしていたし、笑って自分達をここに招待したときも、張り付いたような硬い笑顔だった。
 エレーナは首を振って見せた。
「いいえ、なんでも。……ところで、ウィンリィの相手はしないでいいの?」
 エドワードは瞳を巡らせてホールの真ん中でハンスと談笑を交わしているウィンリィを見る。会話を交わしていても、目はウィンリィをじっと見つめていたエドワードにエレーナは気づいていた。
「別に。グリーレーさんがうまく相手してるみたいですし」
 オレの役目はありませんよ、とエドワードはきっぱりと言う。
「それに、オレとあいつはただの幼馴染で、いまさらこんなトコで喋って食事なんて……」
 やはりエレーナが笑うので、エドワードはさらにムッとした。
「笑うとこじゃないハズなんですけど」
「いや。……ウィンリィの言うとおりだと思って」
「はい?」
 何を言ったんだあいつは! とエドワードは腹の中に力を込める。その時、遠目にウィンリィがこちらに気づいたのがエドワードには分かった。彼女が手を振るのが見えたが、エドワードはぷいと目をそらす。
 その様子を見ながら、やはりエレーナは笑った。
「あんまり愛想ないと、逆にあの子に愛想つかされるわよ」
「な……」
 反論する間も与えずに、エレーナは離れていく。
 エドワードはもうひとつため息をついた。
(なんか、オレ、ため息ばかりついてるな)
 はたとそう気づいて、エドワードはつい、もうひとつため息を落としてしまった。そんな自分に、自分で呆れてしまった。




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