-後談
「…で?」
「で?」
暗闇の下、乱れた息は二人分。
お互いに達した余韻に震えながらも、
ウィンリィはようやく意識を自分の元に手繰り寄せる。
「何?ヒメハジメって。」
涙目の彼女が真剣に自分に問いかけてるのを闇の下で確認して、
エドワードは思わず吹き出した。
いちいち律儀に聞いてくるところがなんだか可愛い。
噛み殺すようなエドワードの笑いに、
ウィンリィはなんだか面白くない。
自分、何か変なことを聴いてるのだろうか。
「…何よ。笑ってないで、答えなさいよ」
「……わり」
しかし、面と向かって聞かれるとなんとなく答えにくい。
「オレとしてはわかんなくても…別に、なぁ?」
「なぁ?じゃないわよ。気になるじゃない。」
だってよ…とエドワードは考え込むように目を閉じる。
「……はじめもおわりも関係ねぇよ、ホントは。
オレとしては、その…」
うーん…と考え込むように言葉を躊躇ってから、
エドワードはぽそりと言った。
「……お前、手放すつもり、ねぇし。」
「…………はぁ?」
ますますわかんないわ、とウィンリィは眉をひそめる。
結構勇気を持っていったつもりだったが、
彼女には伝わらなかったらしい。
エドワードは軽く息をついて、
だからぁ、と少し声を大きくする。
「オレにまかせとけってこと」
「はぁ…」
ウィンリィはとりあえず、分からないまま、
エドワードの腕に抱かれるままになる。
そこはやっぱり暖かい。
もっといっぱい、ずっとこのままで、と思うけれど、
それは叶わない。だからこそ、とてつもなくそのぬくもりが愛しい。
「おやすみ」
話題を切るようにエドワードが言って、ウィンリィもおやすみ、と返す。
あの言葉の意味、明日調べなくちゃ、と思いながら。
そして。
「ハッピーニューイヤー」という挨拶をするアルフォンスに対して
その言葉の意味を尋ねるウィンリィの横で、
顔を赤くしながらエドワードがコーヒーを吹いたのは
翌日の朝のこと。
(fin.)
2005.1.2
…スミマセン。まぁお茶を濁すなってことで。どーでもよい小ネタ。にしても、アルがなんて答えるのかが気になる。