-アニメ鋼の錬金術師感想記- ……一週間遅れです。あしからず。
〜50話 第51話 鋼アニメ総括
第51話(最終話) 「ミュンヘン1921」 2004/10/09放映 DVD13巻収録 追記有。 「人は何かを得るためには同等の代価が必要となる。
等価交換の原則だ。
あの頃の僕らはそれが世界の真実だと信じていた。
でも、本当の世界は不完全で、その全てを説明できる原則なんて存在しなかった。
等価交換の原則も……。
それでも僕らは信じている。人は代価なしに何も得ることは出来ない。
僕らが受けた痛みはきっと何かを得るための代価だったはずだ。
そして、人はだれでも努力という代価を払うことで必ず何かを得ることが出来ると。
等価交換は世界の原則じゃない。
いつかまた会う日まで交わした、僕と兄さんの、約束だ…。」
とうとう最終回です。
冒頭パート無く、最初からオープニングで始まりました。(これは最初にして最後ですね…)しかし、終わりかと思うと、結構ケチをつけてしまったアジカンの曲も切なく聞こえてしまいます。今、二度目をテープで見ているのですが、それでもまだドキドキしますよ…。
さて、エンヴィーによって胸を貫かれたエド。やはり死亡決定らしく。何度見ても、主人公が死んでいるところってなんだか見たくないです…。アルが信じられない、という風に声をあげ、ロゼの悲鳴。
「いつだって、代価は少し足りないもの。」
ダンテの言葉です。彼女が言う等価交換?から言えば、まぁ、そうかもしれませんね。諦めきったような、判りきったようなふうに言う彼女のその様はやっぱり何度見ても私的には怖いです。
一方、大佐のほうはというと、やはり戦闘中。大総統の息子と妻を連れて大総統邸を離れるホークアイの所へ、アーチャー中佐じゃなかった大佐がやってきます。ホークアイになぜここにいる、と攻撃するアーチャー。その様を見た大総統の息子は何かを思い至ったようにその場が逃れます。どこへ行くんだ、セリム…。
「私は、自分の間抜けぶりが許せないだけだ。
そのために死んだ友に詫びるにはこれしかない!」
大総統が、やすっぽい野心などお見通しだ、というのに対して返したマスタングの言葉がこれです。マスタング…おちるとこまでおちたな…。いえ、人情的に考えるならここは感動するところかもしれませんが、(事実、私は感動しましたけど)今までのあの行動一連はなんだったんだーみたいな。ホント、彼の言葉を借りるなら、最後に選んだ彼の行動こそ間抜けじゃないの?とあとで冷静にそう思ってみたり。虎視眈々と上を狙う彼が素敵だったから私はこう言うだけで、人間らしくなったなぁという意味ではマスタングに好感は持てますけど。(以前はなんだかつかみどころのないキャラだったので。)あ、でもこういってますけど、別にマスタング嫌いじゃありません。むしろキャラの中で5番以内に入るくらいすきですよ。
さて、大ピンチなマスタングですが、そこへセリムが登場。うわーと嫌な予感はまさに的中。彼は大総統の「大切なもの」を持ってきちゃいます。そりゃ確かにアレは大総統の大切な(ていうか命にかかわる)ものですけど…。でもだからってセリムの首を絞めますか?やっぱり彼はホムンクルスだったのかぁ。…ちょっとでも希望(彼が人間を好きになっているかも)を抱いた私は愚かでした…。
「キング・ブラッドレイ、あなたは何度殺せば……死ぬのかな…?」
マスタングの反撃開始。血で錬成陣描くところとか、「先月の原作ネタじゃないですか…」と呟いたのは私です。別にいいですが。
そして何度も命が尽きるまで大総統を焼くマスタング。ついに彼を倒します。
大総統邸を出たマスタングですが、待ち受けていたのはアーチャー。ここらへん、よく判らないのですが、ここでマスタングはどうやら目を撃ち抜かれてしまったらしく。・・・時間がなくて、端折ったな、アニメスタッフ。アーチャーは駆けつけたホークアイによって倒されますが、すでにマスタングは血の海に倒れていて。「ロイ・マスタング……っ」とホークアイの悲鳴が響きます。ここでまたしてもクラシック…。嫌いじゃないですが、これはちょっと…。でも泣かされたのは他でもない私…。
その頃、アルは暴走したグラトニーに食べられようと…。しかし、アルは錬金術を使ってしまいます。
「兄さんはまだ死んじゃいない。
ほら、こんなに温かい。」
……あなた、感覚があるんですか?というツッコミはおいといて。いいほうに解釈すれば、感覚ないアルがそう言ってしまうところに微妙に切なさを感じたり……しませんかね?
兄の魂はまだ門の内側にあると言い切るアル。エドを蘇らせようと錬成を始めます。
エドは門の前にいました。おそらく、魂?そこへエンヴィーがやってきて、ホーエンハイムが向こう側にいることを知った彼は門をあけ、扉の向こうへ…。そんなに親父が恋しいか、エンヴィーよ。エンヴィーが最後に竜になったところはポカーンでした。彼を見送ったエドは、「アル…」と呟きながら、………泣いてます。
そして、エドが目覚めたとき、もうアルはいませんでした。そして、エドは生身の手足を取り戻していました。信じられないというエドはアルを呼びますが、その声は虚しく反響するのみ…。
ダンテはその頃、エレベーター?に乗って地上へ。身体の腐食が進みまくっています。…エグイです。しかし、そのダンテの下へ暴走したグラトニーが。おそらく、ダンテはグラトニーに食べられてしまったようです。地上に到着したエレベーターの中に人の姿はありませんでした。
ロゼに、ラースを連れて先へ行け、というエド。
「命の代価はほかにない。オレの全てを捧げても無駄かもしれない。
でも……お前が消えちまうことはないんだ。…アル。戻って来い。」
身体に錬成陣を描き、エドは呟きます。しかし、その顔は今までの苦渋に満ちた顔ではなく、ひどく落ち着いた、決意に満ちた顔でした。錬成を始めたエドを白い光が包みます……。
後半Bパート。
ブラーチャに乗せて、シェスカが語ります。え、エドは??と慌てました。エドがで、出てこない????キング・ブラッドレイは失踪。政権は議会に移されたそうで。マスタング、生きてました。そのまま准将。ホークアイと幸せそう。……おめでとうございます。しかし、マスタングは隻眼に。
「この世界は不完全だ。だから、美しい。」
とてもいい台詞です。
そして、アルは10歳の姿に戻り、エドと旅をしてきた4年の歳月をすべて忘れてしまっていました。そして、エドは行方不明。ウィンリィの一瞬曇った表情がみていてすごく辛いです…。ロゼはウィンリィとリゼンブールに住んでいます。彼女の息子?(赤ちゃん。名前は決まったんですかね…)もすくすくと成長し、アルが哺乳瓶でミルク与えてる描写まで…。ラースは、ウィンリィがエドのためにと用意しておいた機械鎧を装備し、そして行方不明。…恩知らずな奴だな。
そして、修行したいと言い出すアル。師匠はホント、子どもに弱いですね。自分も頑張るから必ず戻ってきて、というウィンリィに、修行して必ず兄を連れて戻ってくる、というアル。ウィンリィの笑顔が……痛いです…。
そして、所かわって、場所は「ミュンヘン」。1921年。(どうでもいいですが、歴史的には戦争終わってますねー)は?と思いましたが。ホーエンハイム、健在ですよ。エド、生きてました……(泣)。どうやら、錬金術が使えない代わりに、今度は機械技術を勉強しているらしいエド。三つ編みじゃなくなっていますよ…。右腕は義手のようです。ロケットで宇宙に飛び出すって…あんた。エドは元の世界に戻ることを切望しています。
「結局オレは、…代価なしに何かを得ちまったのかな…。」
「お前達は旅をしてきた。
その間に会った人、見たもの、苦しみ、努力し体験した全てのこと。
それが、お前の代価じゃないのか?」
父が、…等価交換を支持してる〜っと思いました。
しかし、4年の月日を代価に、というのは、3、4話くらい前のホーエンハイムの言葉から容易に想像は出来ましたが、まさかほんとに代価として支払うとは思いませんでしたよ、ええ。
汽車の中で手を伸ばすエドとアル。うらやましいなぁ、こういう兄弟愛。代価を介するとかしないとか、そういう次元以前に、この二人の愛に等価交換なんてありえないんですから。
二人の自己犠牲のシーンは正直微妙でしたが、それでも、この二人がとても羨ましいです。ここまで相手を思いやり、誰かを愛せるということは、このアニメのこの結末がどうあれ、見ていて非常に羨ましかった。二人は別れ別れですが、最後のシーンでエドが不敵に笑うシーンを見ても、この二人は気持ちいいくらい諦めていない。前に向かって進もうという、前向きで明るい結末。そして、始まり。もっとアンハッピーを期待していたんですが(すすいません。実は…)これはこれでとてもいいのかもしれない、と思いました。世界は不完全だから美しい。人は完全じゃないから、面白い。世界を一概に説明できる原則なんて存在しない。……存在しないからこそ、可能性がある。希望を持てる。だから生きるというのは面白い。ようはそこに帰結するのではないかと。全てを統べるような定理・原則があるとしたら、人の世界はこうも多様化しなかったでしょうし、生きることに苦悩したり、いちいち喜んだりしないはずです。なんだか微妙な終わりだと言えるような気もするし、結論が出ていない、と怒る人がいるかもしれません。でも答えは簡単には出ません。白か黒かを決めることは大変なことですし、簡単には決めてはいけないと思うんです。ふらふら迷いながら、悩みながら、人は生きています。白か黒かの原理主義で生きていけるほど人は単純ではないはずです。迷っては戻って、またスタートして…。生きるとはそういうことの繰り返しです。それを最終回で提示しただけ。だから、私はこのアニメの最終回に対してそんなに不満ではないな、と思いました。点数にするなら75点。自分でもびっくりするくらい高得点つけてます。(あ、最終回に関してだけです)
「今はまだ、どうすればお前のところに帰れるのか判らない。
でも、きっと帰ってみせる。
また会おう、アル…・・・!」
そして映画に続くんですね…。
この最終回に難点を言うとしたら2つ。一つは「アルのファンには満足いく終わりだ」というM監督の言葉ですが、「どこが満足?」と思ったことですかね。あと、一つは、エドとウィンリィが超長距離恋愛だよ…(私の脳内で)と思ったこと。それくらいですか。
このアニメに関して全体の総括をもうちょいしたら書こうかな、と思います。
とりあえずは、アニメスタッフの皆様、お疲れ様ですといいたいです。
…追記。
サブタイトルは無いと思っていたのですが…アニ○ージュ11月号付録によれば、タイトルは「ミュンヘン1921」。ああ〜あのテロップみたいなアレか〜。…………あれがタイトルなんて分かるか!!という気分。
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