ウィンリィがかがむようにして
ちょっと上目遣いでこっちを見てくるのに、
オレはちょっと弱い。
「エド、目ぇ、閉じて?」
「あ?」
「いいから、閉じて。」
「いいけど。」
そう言っても素直に目を閉じるわけがない。
目を閉じたと見せかけて、そ知らぬふりでぱっと目を開ける。
目の前には彼女の顔。
『ン…』
ちゅ、と音がして。
「ちょ、ちょっと!目を閉じてっていったでしょ!!」
ウィンリィの不満の声に、オレは応えていない。
「いいだろ、別にぃ………イっ!?」
こ、この味は………っ。
唇を離したウィンリィがにやりと笑う。
「どうだっ!」
形のいい唇をあけて、見せ付けるのは、白い飴。
「ミルク飴なんだから!」
「お、お前なぁ〜っ!!!」
「ふふん。キスをとるか、牛乳味を取るか、どっちよ?」
……究極の選択。
勝ち誇ったように笑う彼女を前に、
オレの苦悩は続く。
(fin.)
2005.7.10
…拍手お礼小説から再録。2004年10月頃に書いたもの。